トライアルからダービーを勝つ難しさ。キズナはどこまでやれるのか
今年のダービーは皐月賞組が血統面や気性面から距離不安を抱えている事もあり、毎日杯、京都新聞杯と豪快な差し切り勝ちを見せたキズナには例年の別路線組以上の注目が集まりそうです。
ラジオNIKKEI杯2歳S、弥生賞と3,5着に敗れてはいますがともにタイム差は0.1で皐月賞の上位組と比較しても遜色ない力を見せているキズナですが、やはり皐月賞を使っていないのは気がかりです。
過去10年で皐月賞、桜花賞、NHKマイルのG1以外をステップにしてダービーで好走した馬をまとめてみます。
年 | 馬名 | 前走 | ダービー |
---|---|---|---|
12 | フェノーメノ | 青葉賞 1人気1着 |
5人気2着 |
12 | トーセンホマレボシ | 京都新聞杯 5人気1着 |
7人気3着 |
11 | ウインバリアシオン | 青葉賞 6人気1着 |
10人気2着 |
09 | アントニオバローズ | プリンシパル 1人気2着 |
8人気3着 |
06 | アドマイヤメイン | 青葉賞 1人気1着 |
4人気2着 |
05 | インティライミ | 京都新聞杯 1人気1着 |
2人気2着 |
04 | ハーツクライ | 京都新聞杯 2人気1着 |
5人気2着 |
04 | ハイアーゲーム | 青葉賞 2人気1着 |
3人気3着 |
03 | ゼンノロブロイ | 青葉賞 1人気1着 |
3人気2着 |
勝ち馬こそいないものの、2,3着にはけっこう入っていて、京都新聞杯からもハーツクライ、インティライミ、トーセンホマレボシと3頭が3着以内に入っています。(ハーツクライは皐月賞も使ってます)
昨年のフェノーメノ、一昨年のウインバリアシオンなどは弥生賞で皐月賞の権利取りに失敗していて、キズナと似た形ではありますが、やはり弥生賞で負けているだけに伏兵扱いでした。
キズナの場合は毎日杯も挟んでいる事で強いレースを2つ見せられたという事もあってもう少し人気になりそうですね。
では同じようなG1以外のステップからダービーである程度人気になった馬の成績を見てみます。
年 | 馬名 | 前走 | ダービー |
---|---|---|---|
10 | ペルーサ | 青葉賞 1人気1着 |
2人気6着 |
09 | アプレザンレーヴ | 青葉賞 1人気1着 |
4人気5着 |
08 | サクセスブロッケン | 端午S 1人気1着 |
3人気18着 |
08 | アドマイヤコマンド | 青葉賞 2人気1着 |
4人気7着 |
06 | アドマイヤメイン | 青葉賞 1人気1着 |
4人気2着 |
06 | マルカシェンク | 京都新聞杯 1人気5着 |
5人気4着 |
04 | ハイアーゲーム | 青葉賞 2人気1着 |
3人気3着 |
03 | ゼンノロブロイ | 青葉賞 1人気1着 |
3人気2着 |
ダートでの実績しかなかったサクセスブロッケンは別にするとして、マルカシェンクもデビュー3連勝から半年休んで京都新聞杯5着という今回のキズナとは違う流れになっています。
似たタイプとしてはラジオNIKKEI杯(当時はラジオたんぱ杯)、弥生賞を負けている04年のハイアーゲームが近いと言えます。
この年はNHKマイルCを勝ってきたキングカメハメハが勝ち、皐月賞大敗後に京都新聞杯を勝ったハーツクライが2着という事で皐月賞からの直行組が3着以内に1頭も入りませんでした。
この時の皐月賞上位組はダイワメジャー、コスモバルク、メイショウボーラーで、速い時計で決まった皐月賞、折り合いや距離に不安のある上位陣という事で今年の状況に似ている感じがありますね。
キズナはもちろん、NHKマイルCを勝っているマイネルホウオウ、あるいは皐月賞で惨敗していてもペースが落ちて巻き返すような馬がでる可能性もあるのでしょうか。大穴になりそうですがミヤジタイガやラブリーデイあたりが該当しそうです。
キズナはローテーションを細かく見ると珍しいタイプで、弥生賞までは皐月賞を目指すローテの王道ですが、ここで権利をとれなかった場合は一旦仕切りなおして青葉賞という形が過去には多く、毎日杯も使ってきたキズナは過去の主なダービートライアル組よりも一戦多いという事になります。
ですが、弥生賞の前には一息入ってますし、弥生賞からは中3,6,3週となるローテで、毎日杯、京都新聞杯とも特別厳しいというレースではありませんでしたし、そこまで気にしなくてもいいかなという感じではあります。
ただ皐月賞組との比較となるとロゴタイプは休み明けのスプリングSから中4週で皐月賞、中6週でダービーとなり、エピファネイア、コディーノも弥生賞から中6週、中6週と、こちらの方が余裕のあるローテーションにはなります。
と、データから見るキズナは大きなマイナス要素はなく、トライアルからダービーを勝った馬がいないという一点だけが問題になりますね。(京都新聞杯はダービートライアルではありませんが実質トライアルという事で)
10年以上遡れば00年のアグネスフライトが京都新聞杯(当時は2000m)から勝っていますし、96年フサイチコンコルドなどはすみれSから中12週、しかもダービーがデビューから3戦目というローテーションで勝ってはいるのですが、相手関係もあるのでなかなか難しい判断にはなります。
あくまでも過去10年のデータからという観点なら来ても2着までで、5,6着の可能性も高いという事になりますので、ロゴタイプと人気を争うようなオッズになれば期待値としては低いという事になりますね。